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2025年10月にふるさと納税改悪!変更点と過去の歴史をわかりやすく解説

2024年6月28日、総務省の『ふるさと納税の指定基準の見直し等』が発表され、

・2024年10月
・2025年10月

にそれぞれふるさと納税のルールが改定されることになりました。中でも、2025年10月の改定はかなり影響が大きく、これまでの変更の中でも1,2を争うレベルでインパクトがある変更となります。

特に、ふるさと納税において還元率を重視する人にとっては大きな改悪です。そこでこの記事では、

・2025年10月にどのような変更が行われるのか

・2025年9月までにやるべきこと

・過去のふるさと納税制度の変更の歴史

・今後ふるさと納税制度はどうなるか(予想)

を解説していきます。

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2025年10月の主な変更点:ふるさと納税の寄付に対するポイント付与が全面禁止

総務省の告示より引用

 

告示にあります通り、2025年10月より、ふるさと納税を仲介するサイト(楽天ふるさと納税やさとふる、ふるさとチョイスといったふるさと納税ポータルサイト)は、ふるさと納税の寄付に対してポイントの付与を行うことが完全にできなくなります

また、モッピーやハピタスといったポイントサイトを経由してのポイント還元も全面禁止となります。

これらふるさと納税に対するポイント還元は、各ポータルサイト/ポイントサイトの負担によるものだったのですが、それら全て禁止です。

楽天ふるさと納税は、「各ポータルサイトによる民間原資のポイントまでも禁止するのはおかしい」として、『ポイント付与を禁止する総務省告示に対する反対署名のお願い』というものを掲載し、この変更に反対しています。

 

しかし、一度出された告示が覆ることは考えにくいので、2025年10月にはふるさと納税に対するポイント付与は全面的には禁止されてしまうと考えられます。

なお、2025年9月までは禁止されていないため、それまでは各ポータルサイトによるポイント還元は続くと考えられます。

特に、2025年の初春からふるさと納税に参入するといわれているAmazon(参考:日経新聞『Amazon、ふるさと納税仲介事業参入へ』)は、ポイント還元が禁止されるまでの間にユーザーを得たいでしょうから、大規模なキャンペーンを行う可能性もあります。

このため、2025年は、9月末までにふるさと納税を終わらせておくことが重要となります。

 

なぜ2025年10月のふるさと納税のポイント還元制度の改悪は行われることになったのか?

総務省の資料(*1*2)によると、ポータルサイトによる寄付に伴うポイント付与に係わる競争が過熱していることが、平成31年に公示された以下の基準へ適合していないことが疑われるため、今回の変更に踏み切ったとのことです。

 

正直、上記の基準に対して『ふるさと納税の寄付に対してポイント還元すること』が違反していると考えるのは無理があると思います。

ただ、ふるさと納税は、元々、『生まれ育った地域に恩返しができる制度』という目的で作られた制度なので、総務省としては返礼品やポイント還元が注目される現状を変えたいのでしょう。このため、ふるさと納税に対する返礼品やポイント還元に対する制限を2019年以降、強化しつづけているのかと思います。

 

【10月の変更で損しないために】2025年9月までにやるべきこと

2025年のふるさと納税は、できる限り9月までに全て終わらせましょう

10月になるとふるさと納税に対するポイント還元がなくなるため、損ですので

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2024年10月までの過去のふるさと納税制度の変更の歴史をわかりやすく解説

ふるさと納税制度の歴史を簡単に振り返っていきます。

 

【ふるさと納税制度開始前】2008年以前

2006年、当時の福井県知事であった西川一誠氏が問題提起した『大都市に働き手が集中しやすい日本では、地方は子どもの教育・成長にコストを費やしていても、その子どもたちが納税前に大都市圏へと流出してしまう』ということを最初の発想としてふるさと納税は始まりました(*3)。
つまり、都市と地方の税金の収支のバランスの悪さを是正することが当初の目的です。
そして2007年になり当時、総務大臣だった菅義偉氏が「生まれ育ったふるさとに貢献したい」という気持ちを形にするためという理念のもと、『ふるさと納税』制度の構想を発表しました(*4)。
このことから、西川一誠氏がふるさと納税制度の発案者で、菅義偉氏がふるさと納税制度の創設者と言われています。
なお、この時点では返礼品については全く想定されていませんでした。

 

【ふるさと納税制度開始初期】2008年~

2008年4月に地方税法などが一部改正され、5月よりふるさと納税制度が始まりました。
当初のふるさと納税は、純粋な寄附制度を想定されており、返礼品に関する規定は一切ありません。実際、返礼品と呼べるものは、一部の自治体が独自に感謝の印として地域特産品を送る程度のものしかありませんでした。

また、この当時はワンストップ特例がなく、控除を受けるには必ず確定申告をしなければいけないことや、寄付金控除の上限額も今より低いといった事情もあり、制度開始直後のふるさと納税は、あまり利用者のいない制度でした。

 

【ふるさと納税利用者の増加】2011年:東日本大震災がきっかけで利用拡大

2011年3月11日に東日本大震災が発生しました。そしてこれをきっかけに、被災地支援としてのふるさと納税制度の利用が注目を集めました。

現在でも、ふるさと納税は、震災や豪雨など災害で被害にあった自治体が復興するための貴重な財源として機能しています。

そしてここを契機に、ふるさと納税の認知度があがり、税収を増やしたい自治体が返礼品の充実を検討するようになります。

また、2012年9月には『返礼品』のお得さに注目した企業、株式会社トラストバンクにより、最初の大手ふるさと納税ポータルサイト『ふるさとチョイス』が開設されました。

 

【ふるさと納税の過熱】 2015年~:高還元率・地域性のない返礼品の登場

2015年には

  • ふるさと納税の寄附金控除の上限額が約2倍に拡大
  • ワンストップ特例制度の導入で、確定申告不要になる

という改正が行われました(*4)。

また、2014年・2015年にかけ、現在よく知られているポータルサイトである『楽天ふるさと納税』『さとふる』『ふるなび』も開設されました(*5*6*7)。

これによりサラリーマンでも利用が容易になり、さらに利用できる金額も増えたことから、返礼品競争がここから激化していきます。
自治体はより多くの税収を集めようとし、

  • 一部自治体で還元率が70%を超える事例が出現
  • 高級家電、タブレット端末、商品券など、地域性のない返礼品が続々登場

ということが行われました。結果、総務省が「返礼品は寄附の趣旨に反する」との通知を発出することになりました(*5)。

 

【ふるさと納税規制強化の基準通知】2017年4月:還元率3割以下・Amazonギフト券禁止

返礼品競争の過熱が進んだことから、2017年4月、総務省が初めて以下のような具体的な基準を記した要請を自治体に通知します。

  • 返礼品は返礼割合(還元率)3割以下とする
  • 地場産品以外の返礼品は自粛
  • 商品券やプリペイドカードなど金銭類似性の高いものは禁止

ただし、この時点では法的拘束力はありません。あくまでも助言という扱いでした。

このため、一部自治体は規制に従わず、依然として高額返礼品を提供し続けました。2018年時点では、約4割の自治体が、返礼割合(還元率)3割超の返礼品を提供していたといわれています。

特に大阪府泉佐野市は格安航空会社の『Peach』で利用できる『ピーチポイント』を返礼品として提供するなど話題になり、総務省が複数回にわたり是正要請を実施することとなりました。

 

【法規制開始】2019年6月:返礼品の還元率が3割以下に改悪

2019年6月、ついにふるさと納税の返礼品に対する法規制が始まります。
地方税法改正による以下のような規制強化が行われました

  • 返礼品の割合を寄附額の3割以下に法制化
  • 返礼品は地場産品限定を明文化
  • 基準を満たさない自治体は制度の対象外

そしてこの基準に基づき、泉佐野市など4自治体がふるさと納税の制度対象外に指定されました(*8)。

ただ、泉佐野市は、この新基準に適合した形への変更を法整備の前である4月には行っていたため、『制度対象外』と総務省がしたことに対し異議を申し立てる裁判を起こし、2020年には最高裁で勝訴。制度に復帰しています。

また、この判決を受け、同様に制度対象外とされた和歌山県高野町、佐賀県みやき町もふるさと納税制度に復帰しました(*9)。

 

【規制対象拡大①】2023年10月:経費5割ルールの適用拡大と地場産品厳格化

ふるさと納税制度においては、『返礼品の調達価格は寄付額の3割以下』という制限以外にも、『返礼品の調達や送料、仲介サイトに支払う手数料などの経費は寄付金額の5割以下』という制限もあります。

2023年10月の規制では、この『5割以下にすべき経費』の中に、それまで対象とされていなかった、ワンストップ特例制度の事務や寄付金受領証の発行にかかる費用を含めなければならなくなりました。

このため、そのままだと経費を含めた費用が寄付金の5割を超えてしまう自治体は、経費の割合の分母となる寄付金額を引き上げ、返礼品の還元率を下げることとなりました。

また、地場産品基準の厳格化も行われました

これまでは、その自治体の外で生産されたものであっても、加工する場所がその自治体内にあれば地場産品として認められてきました。このため、お米や肉の加工場を地域内に持つ自治体は、自治体の外で作成されたものをその加工場などで加工することで、産地が自治体外のお米などをその自治体の返礼品として提供することができていました。

しかし、この年の改正により、この方法が使えなくなりました。お米や熟成肉は、その自治体内で生産したものしか提供できなくなったのです。

 

【規制対象拡大②】2024年10月:旅行・宿泊券の提供ルール変更

複数の都道府県にまたがってホテルなどの宿泊施設を提供するグループの利用券を提供する場合、1人1泊5万円を超えるものについては、その運営元グループが同一県内にある宿泊施設に限定されるようになりました。

ややこしいので具体例を出しますと、APAホテルは全国にありますが、その運営元のアパグループの本社は東京にあります。このため、APAグループの宿泊施設の宿泊券のうち、1人1泊5万円を超えるものについては、運営元がある東京都内でしか提供できなくなりました。

 

【規制対象拡大③】2025年10月:ふるさと納税へのポイント還元を全面禁止

ふるさと納税ポータルサイト及びポイントサイトによる、ふるさと納税へのポイント還元が全面禁止となります。これは2019年の還元率3割規制の法整備以来の大きな変更です。

お得さ視点・そしてポータルサイトによる自助努力の否定という意味では非常に大きな改悪となります。

 

ふるさと納税制度の変遷・還元率改悪の歴史まとめ

ふるさと納税制度は当初の理念から大きく形を変え、返礼品競争を経て、現在は法規制により一定の秩序が保たれています。

ただし、制度本来の『ふるさとへの貢献』という趣旨と、返礼品競争との間でバランスを取ることが、継続的な課題となっています。

地方自治体は、法定上限の範囲内で、いかに魅力的な返礼品を提供するかという観点から、地域資源の掘り起こしや、事業者との連携強化など、創意工夫を重ねています。

 

【予想】今後もふるさと納税はすぐにはなくならないとは思うが骨抜きになる可能性は0ではない

ふるさと納税は、2008年の開始以降15年に渡り続いてきた制度です。このため、各自治体、そして自治体内の企業の中には、このふるさと納税の返礼品を提供するために設備投資を行ってきた企業も多くあるでしょう。

また、ふるさと納税は年々その規模を拡大しており、令和5年(2023年)には、ふるさと納税の受け入れ額の合計は1兆1175億円もの規模になっています(*10)。

この規模の制度を急に止めるとなると、全国に影響が及ぶため、即座にふるさと納税制度がなくなるとは考えにくいです。

しかし一方で、総務省としては『ふるさとへの貢献』という趣旨を超え、返礼品競争が行われている現状を変更したい思いがあるのか、毎年のように規制を強化しています。

このため、ふるさと納税制度はすぐになくなることはないものの、『返礼品の還元率上限を下げていき、最終的には返礼品を禁止する』といったことを行い、徐々に『単なる寄付』という形にしていく可能性はあると思います。

ただ、前述したように、それを急に行うと、ふるさと納税に携わっている企業、そして地方自治体が大きなダメージを受けます。地方自治体の活性化のために生まれた制度ですので、急にそれを行うことは考えにくいと思います。

このため、ふるさと納税制度は、今後も、地方自治体による創意工夫や総務省の規制の中で変更を受けつつもまだしばらくは継続するのではないかと思います。

 

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