ふるさと納税のお得さの目安として一般的なのが、還元率です。
ただ、この還元率が高ければ満足度が高いのでしょうか?
「還元率が高い商品をもらったのに思ったより質が悪かった」という人もいるかもしれません。また逆に、「めちゃくちゃおいしい返礼品があったけど、還元率のサイトで見てみたら思ったより還元率が低かった」ということもあるかもしれません。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
当サイトでは、6000品以上のふるさと納税の返礼品の還元率を調査してきました。そこでこの記事では、その調査の経験を踏まえて、「還元率と満足度って関係があるの?」「還元率が高くても微妙な返礼品はなんであるの?」ということを解説していきます。
前提知識:ふるさと納税の還元率の計算方法
ふるさと納税の還元率は、場面場面で使われる意味が微妙に異なるので、還元率と満足度の関係について解説する前に、まず前提となる知識を紹介します。
まず、還元率の計算式です。
還元率=商品などの価格(※) ÷ 寄付金額 ×100
具体的に計算すると、一般に販売されている価格が3000円の商品を寄付額1万円で提供していましたら、
商品などの価格3000円÷寄付金額10000円×100=還元率30%
となります。
この式自体は多くの人がご存知かと思いますが、ここでポイントとなるのは『商品などの価格』の部分です。
この『商品などの価格』は、以下のように、シチュエーションごとに利用される価格が違うのです。
総務省が規制している還元率30%規制は返礼品の調達価格から計算したもの
総務省は、各自治体にふるさと納税の寄付額がきちんと残るように、あまりに高い返礼品を自治体が提供しないよう還元率に制限をかけています。
その制限が、『返礼品の調達価格は寄付額の3割まで』というものです。これが還元率30%規制と呼ばれるものです。調達価格とは、返礼品をその自治体が手に入れるために要する価格です。
この時の還元率の式は以下の通りです。
還元率=自治体による返礼品の調達価格 ÷ 寄付金額 ×100
総務省は、返礼品に対して自治体のお金をかけすぎたくないため、このような規制を行っています。
総務省が規制している還元率50%規制は手数料を含めた総費用から計算したもの
次に、こちらも総務省の規制に関するものですが、総務省は返礼品の価格だけでなく、その返礼品の送料でしたり、ポータルサイトへ払う手数料にも規制をかけています。
それが50%規制と呼ばれるもので、返礼品の価格以外の各種費用も入れた費用の還元率を50%以下に収めなければならないという規制です。
還元率=自治体が返礼品に関してかけた総費用(事務手数料、送料、広告費含む) ÷ 寄付金額 ×100
当サイト含め多くのサイトで掲載されている還元率は販売価格を元に計算したもの
上記の総務省によって規制されている還元率とは別に、当サイト含め多くのサイトで公開されている還元率は、以下の計算式で計算されています。
還元率=商品の一般販売価格 ÷ 寄付金額 ×100
一般販売価格とは、その商品を普通に販売している際の価格のことです。具体的には、楽天やAmazonなどでの売値がこれに当たります。
私たちは自治体による返礼品調達価格を知りようがありませんし、知りたいことは「どの返礼品がお得なのか」ということなので、一般に売られている価格をもとにして返礼品の還元率を計算しています。
還元率は総務省が規制しているものとサイトで公開されているもので計算方法が違う
上記のように、総務省の規制対象となっている還元率は『自治体がその返礼品を提供するために払っている費用』をもとに計算されています。
一方、当サイト含め、多くのサイトで公開されている還元率は、『普通にその返礼品を商品として購入する際に払わなければいけない価格』をもとに計算されています。
このため、総務省の還元率30%規制などがあっても、ふるさと納税還元率ランキングなどでは還元率100%を超える返礼品があるのです。
ふるさと納税の還元率と満足度は関係ない?高還元率でも満足度が低い品がある理由
それでは、いよいよ本題である、還元率が高くても満足度と関係ないことがある理由を考えていきます。
高い商品=おいしい・品質がいいとは限らない
一番単純な理由は、『価格が高いからといって良い商品とは限らない』ということです。
普通に商品を買っているときもあるかと思うのですが、高くても品質が低い商品は残念ながらあります。返礼品の還元率は商品の販売価格から出しているので、高還元率な返礼品にも、このような『販売されている価格は高いのに質は低い』返礼品が紛れ込んでしまうことはあり得ます。
返礼品として提供しているものと一般販売しているもので提供を分けている業者がいるかもしれない
次に、これはあってはならないと思っているのですが、『本来の商品を作成する過程で出た余り物や切れ端を返礼品として提供している』ということをしている業者がいる可能性です。
例えば牛肉において、商品として一般販売する分をまず『一般販売用』として確保し、残りの切れ端や脂肪が多すぎてカットした箇所を『返礼品』として提供している場合です。
もしこのような返礼品があった場合、本来の商品の余り物と知らない限り、還元率は本来の商品の価格をもとに計算されてしまいます。結果、その還元率はかなり高くなるでしょう。
このようなことをする業者は返礼品の提供業者として失格だと思うのですが、高還元率な返礼品なのに明らかに低品質なものが届いたり、レビューや口コミが悪すぎる場合は、その可能性もあるのかもしれません。
調達価格を下げにくいもの(金券やチケットなど)は還元率が低くなりやすい
金券やチケットは、一般的に還元率は低くなりがちです。
これは、先に説明した調達価格の話と関わってくるのですが、例えばお肉などの食品は大容量を一気に仕入れることで調達価格=自治体がその返礼品にかける価格を下げることができます。
つまり、一般的には高く売られている商品を自治体が安く手に入れることで、総務省の規制である『調達価格は寄付額の3割まで』という規制を守りつつ、高級な品を高還元率な返礼品として提供することができます。
このようなことができるため、牛肉やうなぎなど、ボリュームディスカウントが効きがちな品は還元率が高めになってきます。
しかし一方で、金券やチケットは、ほぼほぼ調達価格=一般販売価格です。例えば大阪府泉佐野市が提供しているpeachでゴー!旅行クーポンは、Peach航空で使えるクーポンですが、『〇円分のクーポン』と価格が完全に決まっているため、調達価格を下げることはできません。このため、還元率は規制上限の30%に留まっています。
ただ、還元率が低いからといって、このクーポンをもらった人が満足しないと言ったらそんなことはないでしょう。
『ボリュームディスカウントが効きやすいものは還元率が高くなりやすい』『〇円分のクーポンなどのように価格が完全に決まっているものは還元率が低くなりやすい』というのは把握しておいても良いかもしれません。
商品価格の変動で還元率も変動する
一般に公開されている還元率は、販売価格をもとに計算されています。このため例えば、
・お米不足で価格が高騰→それを元に計算される還元率も高くなる
といったように、販売価格に合わせて還元率も変動します。このため、『還元率が高くてもそれは一時的なもので、実はその他のタイミングでは還元率が低い返礼品だった』ということもあり得ます。
地域貢献を主体として考えるなら還元率を無視するのもあり
ちょっと今回の本題からはズレますが、ふるさと納税は、あくまでも地域を応援するための制度です。このため、そちらをメインにして考えれば、返礼品の還元率は満足度に関係はありません。
【まとめ】ふるさと納税の還元率はお得さの目安になるけど絶対ではない
ふるさと納税において、還元率は一目でお得さがわかる指標です。
でも、ここまで書いてきたように、「還元率が高い=みんなが満足できる間違いない返礼品」というわけではありません。
元々の販売価格が高くても質が低い返礼品であることもあり得ますし、たまたま還元率の調査時にその商品が不足していて販売価格が高騰し、還元率が一時的に高くなっているだけの可能性もあります。
このため、返礼品を選ぶ際は、ふるさと納税の還元率ランキングだけでなく、各サイトで公開されているレビューや人気ランキングなども見つつ、欲しい返礼品を選ぶのがおすすめです。
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